2006年12月31日
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┏━┫ 週刊 自転車ツーキニスト "Weekly Bicycle Tourkinist" ┣━┓
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    【例の法案】試案のからくりが見えてきた、の285号
 
■もう大晦日
 
 激動の2006年も今日までだ。みなさま、年の瀬をいかがお過ごしでしょうか。私はといえば、葛飾・新小岩の親の実家に来ています。
 最近はどこでもここでもケーブルをつなげば、即、ネットに接続できる。いやまあ便利だね。
 てなことで、2006年、最後の最後までこの法案(現在は「試案」)にコダワッてみるわけだ。
 というのか、なんだか見えてきたよ。
 この「試案」とやらの方向性、いや「からくり」が……。
 
■「試案」のからくり
 
 甘かったな、オレも。
 友人の某官僚氏(残念なことに、この彼は警察庁に非ず)に指摘されて、ようやく気づいた。
 彼の言い方はこうだ。
 
「いやー、ヒキタ、甘いね。大甘だ。ヒキタに何だかんだ説明されたから、オレもまあ、今回の道交法改正試案には、ちょっと注意していたんだが、例のPDFファイルを見た瞬間に思ったよ。
 こりゃあ、いわば『官僚の常套手段』の典型ってヤツだよ。
 本当に通したいものは、目立たないように、隠しておくものさ。
 それにしても、なりふり構わず、というか、けっこう無茶苦茶だな、この『試案』(笑)。ここまで荒っぽいのは、ちょっとオレも見たことがない(笑)」
 
 どういうことだろうか。
 いっちょ検証してみよう。
 
 この官僚氏の指摘に、私の推論を混ぜるならば、我々はこの「試案」に、まんまと騙されていることになる。
 以下、お読みいただきたい。
 読者諸氏はどうお考えになるだろうか。
 
 試案「3 自転車利用者対策の推進」から、今回の歩道通行の話に直接関係はないと思われる
(2) 児童・幼児のヘルメット着用の促進、と、
(3) 街頭活動の活性化の
 二つを除くと、残りはわずかに1,081字。
 
 だが、このわずか1,081字は、非常に奇妙な1,081字なのである。
 
■「試案」の言いたいところ
 
 この「試案」、ザッと一読すると(前号に全文引用してあります。読んでみて下さい)、現在の日本人全般にとって、第一印象は「ああ、この試案は『自転車の車道通行を促進する』案なのね」というものであるはずだ。
 現在の日本は、実質的に、自転車を歩道に上げてしまっているからして、そう見えてもなんら不思議はない。
「原則、車道通行の維持」の強調や、「警察官等が危険だと判断した場合には、歩道から下りなくてはならない(指示に違反した場合には、処罰の対象となります)」などの部分。これらは、一般の人にとっては「歩道通行が厳しくなる」と受け取れるはず。
 
 だが、ここが巧妙な部分の一つで、現行法での「現状」の方が既に間違っている、ということを一般市民は知らない。
 要は「原則、車道通行」や「処罰」は、何も法改正で初めてできるのではなく、今だって十分できるのだ。だが、みんなそれを知らない。
 ここが言ってみれば、つけ込む隙になっている。
 
「一見、この試案は『歩道を走る自転車に厳しいものになっている』ように見える」というのは、この「現状の誤り」の上に導き出された「錯覚」というわけだ。
 
 日経新聞の記者が騙されるんだから(12/21付東京版夕刊)、ましてや一般の目から見破るのは不可能だろう。
 
 だが、それは正しいことなのだろうか?
 
 考えてみれば、現状でもそのまま対応できる話を、ただ単に「しなかっただけ」だ。
 誰が? 一義的には「自転車運転者が」だが、二義的には「それを取り締まるべき警察官たちが」だろう。
 
 原則車道通行の徹底、自転車への赤切符、など、いわば「やってなかった」だけで、現行法上でも全部可能。今までのメルマガでも再三述べてきたように、それらの話は、現状となんら変わらないのである。
 つまり、キツイことを言わせていただくと、これまで「自転車対策に関して、警察が怠慢だった」だけなのだ。
 
 では、今回の「試案」に表れる「今までと変わった部分」とは何か?
 ひとえに次の部分だ。
 
「児童・幼児の運転の場合、そして、普通自転車が、例外的に歩道を通行することができる場合の要件を、法律で明確に定めることとします(適宜略)」。
 
 要するに、この試案は「自転車の歩道通行の条件を拡大し、その要件を法律で定めること」こそが、その骨子となっている。
 決して「原則車道の徹底」などではない。
 これは大前提であって、憶えておいていただきたい。
 繰り返そう。今回の試案は
 
「自転車の歩道通行の条件を拡大し、その要件を法律で定めること」
 
 が、一番の骨子となっている。
 
■その奥に仕組まれたからくり
 
 さて、ここまでは、まあ、当たり前なのだ。警察庁の方々も誰もが認めるとおりだろう。問題なのはここからで、いわば「からくり」はこの後にある。
 
 では「その要件を法律で定めること」の内容が何であるか、だ。
 
 試案の中にはこうある。
 
「(前略)車道を通行することが危険である場合など、歩道通行をせざるを得ない場合があると考えられ、こうした歩道通行できる場合を法律で明らかにしようとするものです。」
 
 さて、この「法律で明らかに」された「車道を通行することが危険である場合」なのだが、そういう場合の「車道」は、果たして自転車で通ることが可能なのだろうか?
 
 最大の問題点はココにある。
 
●法律で「歩道通行をせざるを得ない」ということを「明確に」定めるほどに
●「通行することが危険」な車道を
●果たして、警察当局は、自転車通行の許可をするのか?
 
 ということである。
 
 どうでしょうか?
 
 自己責任で、車道も歩道もどうぞ?
 まさか(笑)。法律で明確に「危険」と定められた車道において、自己責任でも何でも「一般市民を危険にさらす」ことができるものですか。そもそも、それでは「法律で明確化する」意味がまったくありません。
 
 それとも、乗る人を選ぶって?
 まさか(笑)。何を基準にそれを選ぶというのでしょう? ココの部分については、話は「幼児・児童」でなく一般運転による「普通自転車」なのです。そもそもあの「提言」には、そんな基準を決めようなんて話はどこにも記されていません。
 
 結局、この「法律で」「危険である」と「明らかに」された車道は、歩道通行のみが促進され、結果として自転車通行禁止になってしまう、というのが、一番、容易かつ合理的に出てくる結論なのだ。
 そのためにこそ、今回の試案の中には、きちんと次のような文言が用意されているのである。それも、合計1,081字のわずかな文章の中に、212字も費やしてだ。
 
「3(1)〜(3)の改正は、自転車対策検討懇談会が平成18年11月に取りまとめた『自転車の安全利用の促進に関する提言』を踏まえ行うものであり(中略)総合的対策を推進していくこととしています。」
 
 ココで出てくるのだよ。<提言>は。
 ここで初めて「提言を踏まえる」という話が、圧倒的な力を持って生きてくる。
 提言の中にはもちろん例の「キモの条項」が存在する。
 
第4、2(4)「自転車が車道を通行することが特に危険な場合は、当該道路の自転車通行を禁止することなどの措置を講ずること」
 
 どうだろう。この見事な合致。見事な整合性。
 
 警察庁は、この「自転車通行を禁止する」を含む提言を「踏まえ」て、「総合的」な対策をするのである。
 話はもう明らかだろう。
 
 一見、あたかも「車道通行の促進」? のように思わせ、よくよく見れば「ただの現状の維持」。ところが、いったんそれを精読してみると、目の前に立ち現れるのが「自転車の車道通行の抑制(および禁止)」なのである。
 
 うまいっ。
 
 私は唸った。
 だが、冒頭の件の官僚はこう言う。
 
「いやー、ヒキタね、こういうのは官僚のお手の物の話でさ。特に財務省なんかに出す書類なんてのには、こういうのはしょっちゅうだよ。
 どうしても予算が欲しい、でも、そのままでは通らない、なんて場合には、色々考え出すもんさ。オレだって、そういう場合は……、あ、むにゃむにゃ(ラストの部分、若干、ヒキタの脚色アリ(笑))」
 
 そう思って、この1,081字を、再度、読んでみていただきたい。
 警察庁オリジナルの本物はココにある。
 
 
 どうお感じになるだろうか。
 
「提言」そして、その「概要」「要旨」に較べると、この「試案」は、驚くほど、自転車コンシャスになったかのように見える。あたかも「これからは車道をどうぞ」と言っているかのようだ。
 
 だが、それは甘いのだ。まったくの錯覚なのである。
 警察庁は最初から今にいたるまで、そんなことはまったく考えていない。
 
 私が思うに、この試案は「見るべきところもある」どころじゃない。「まったく駄目」である。「見るべきところ」は、現行法と何ら変わらない部分に過ぎないのだから。
 
 繰り返そう。
 提言が試案になった今も、警察庁が目論んでいることは、まったく変わっていない。
 
 その辺りにご注意をしつつ、どうぞ、パブリックコメントを。
 
 私の一連の文章をそっくり引用し「これは正しいのですか? もし間違いだというならば、提言第4、2(4)(またはそれに類するもの)は、法案から外していただけますね?」というのもアリなのではないかと思いますよ♪
 
電子メールkoutsukyoku@npa.go.jp
※件名にパブリックコメントと必ず御記入ください
〒100−8974
郵送東京都千代田区霞が関2−1−2 意見提出先
警察庁交通局交通企画課法令係
パブリックコメント担当
FAX 03−3593−2375
※1枚目にパブリックコメントと必ず御記入ください
平成18年12月29日(金)から意見提出期間
平成19年1月28日(日)までの間(必着)
 
■昨日の朝日新聞
 
 昨日の朝日新聞「歩行者にツケ回す法改正」には、各方面から、嬉しい反響を戴きました。この場を借りて、どうもありがとうございます。
 
■エコサイも頑張ってます
 
 署名など、様々なアクションは下記のサイトでどうぞ。前号でご紹介した古倉先生の例の本が、ここなら10パーセント引きだそうですよ。
 
 
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